やくそく する 僕はずっとここにいると

精いっぱいの愛を言葉にすることを 恐れず、怠らず。

再演『それいゆ』

ああ、終わってしまった。

それいゆ。

やはり、素晴らしい舞台でした。

愛すべき

美しい

作品でした。

 

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クラシカルで趣のある新神戸オリエンタル劇場

千穐楽を見届けて、

ひたすらに

あたたかで幸せな気持ちになりました。

 

初演では、随分と私情を交えて観てしまったのですが

舞台『それいゆ』を振り返る。 - や・く・そ・く する 僕はずっとここにいると

 

今回は私自身、フラットに観ることができたような気がします。

初演とは別のところにも心が動いたり

ハッとしたりと

新たな見え方がありました。

そして

どのキャストさんからも

その役柄の生き様が

前よりもっと強く、強く伝わりました。

そのせいか、

淳一先生に対峙し感情が爆発する人々の

その思いそれぞれに

彼らの苦悩や人間臭さに

心が揺さぶられ

どんな場面でも

自然と涙していました。

 

そしてなによりも。

優馬くんの、いや淳一先生の、存在感と迫力に

前よりもっと引き込まれました。

美しいものや、それを創り出すこと

そんなことがただただ大好きな淳一先生の無垢さがより一層際立ち

一方で

自分のもとを去っていく人々への寂しさ

これでよかったのかという葛藤もまた一段と強く感じられました。

そのためか、

その矛盾の狭間で苦しむ淳一先生の苦悩が

もっともっと深く伝わって

苦しくなりました。

 

無理して自分を追い詰め

美を追い求める中原淳一

狂気でした。

泣き叫ぶ淳一先生のその迫力は増していて

心に激しく訴えかけてきて

やっぱり、涙せずにはいられませんでした。

苦しくて、苦しくて。

 

でもその狂気は、美でもありました。

それこそが中原淳一の生き様であり、美しさであるということが

中原淳一として生きる優馬くんがあまりに、あまりに凄くて

とても自然に、腑に落ちました。

 

天沢さんの言葉や

夢を再び追う舞子に救われ

輝きと晴れやかさを取り戻す淳一先生。

妥協せず信念を伝えた末、救った彼らに

今度は自らが救われた。

でもそれも、

淳一先生が美しく生きていたから。

美しく生きることは、苦しんでも、いずれ自らを救うのだと私は信じています。

逆に、自分を欺けば、必ずや自分を貶める、と。

淳一先生が今でも慕われ

こうして沢山の人々に希望と夢を与えつづけていることが証明してくれていると思います。

 

そんな先生に天沢さんは、なぜそんなにも美しさにこだわるのかと聞くとこう答えます。

 

「美しさは、世界を変えることができるからだ。」

 

この意味を私はわかっていませんでした。

私だって美しさで世界を変えたいけれど、世界を変えるのは簡単ではないよとこの台詞をどこかただ格好つけた綺麗事のように漠然と解釈していました。

でも違ったのですね。

 

美しい生き方を追い求めることで、

世界への自分の見方を変えることができる。

辛い毎日や、厳しい世の中でも

下を向いて仕方ないと妥協するのではなく

上向いて、胸張って、前!を見て

一生懸命に生きることで

自分の世界が変わって

そしてそれがいずれ、

日本中を、世界中を

美しく変えていく。

そう言いたかったのですよね。

全部ぜんぶ、繋がっていたのですね。

 

屈託のない笑顔で語る淳一先生を見て

一瞬の閃光が光ったようにハッとし

頭で理解していた淳一先生の教えが

ストンと腹落ちした瞬間でした。

 

この瞬間もまた、宝として

私の心の中に残り続けるだろうと思います。

またそれいゆから素敵な贈り物を貰いました。

 

 

ああ、他にも様々に、感じたことは沢山あるのに。

ひとつひとつ、忘れずに心の引き出しに仕舞っておきたいのに。

それらが心の中に溢れて

なかなか言葉になりません。

それはまたいずれ。

 

 

それいゆカンパニーの皆さま、

今回も前以上に、

素敵な、素晴らしい作品を観せてくださって

本当にありがとうございます。

もの凄かった。美しかった。

この舞台に再び逢うことができ

心から嬉しく思います。

それいゆ、大好きな作品です。

 

上向いて、胸張って、前。

それいゆから戴いた向日葵の種を、心の中でたいせつに、大輪に咲かせ続けたいと思います。

 

 

Ayana🌻